宮武館

「宮武館」とかいて「キューブハウス」と読みます。 記事内容は、サイコロのように不規則で多面体です。

小林カツ代

カツ代本より本物の味、異質の味


 ↓ 子どもがいないのに読んでどうするのか、と自分でも謎ですが、小林カツ代さんの本は料理以外もなかなかおもしろいです。

小林カツ代さんの子育て奮闘記
「ママおかわりっ―食べることが楽しい子に(1982年/女子栄養大学出版部)

ママおかわりっ―食べることが楽しい子に

 当時9才の息子と揉めて、思わず「朝ごはんはあげません!」とカツ代さんがおあずけにしたエピソードは、「料理研究家のケンタロウ氏にもそいういう時期があったのか」とほほえましい内容でした。
 他にも、子育て中にありがちで、知っておいたほうがいいお話がたくさんでてきます。 
 ・離乳食は野菜をやわらかく塩ゆでして、スプーンやフォークでつぶせば裏ごししなくてもいい
 ・豆腐は内側に熱がこもりやすいから、やけどに注意
 ・やけどをしたら、とにかく水で冷やす
 よくある身近な話題から、育児書みたいに肩肘はらずに読めるのがいいです。

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 そのなかで、市販のプリンに嘆くカツ代さんは、「ヌルヌルとしたカラメルソースが気持ち悪い」といい、「姿かたちをそっくり似せた、まったく異質の味」と表現しています。 
 ある家庭では、本物のプリンを作っても、子どもから市販の味をせがまれるとか。
 「人にはそれぞれ事情があるし、市販のものにもいいものは一杯あります」としながら、幼くても本物の味を知らせなくては、と結んでいました。

ハウス/プリンエル 60g

 おそらく私は、市販のプリンとそれらしき手作りキットで育った層です。
 それでも、本物のカスタードプリンを食べた時の衝撃は忘れられません。
 ですから、「論より証拠」の英訳、 “ The proof of the pudding is in the eating(プリンの味は食べてみなければわからない) ” には納得です。

「小林カツ代のやさしいおやつ 」(1997年/講談社)より、
プリン容器がなくて、パン・プディングを作ってみた。
小林カツ代のやさしいおやつ6a62974b.jpg

 はじめから本物の味を知らなくても、バタークリームのケーキはまずかったし、マーガリンは風味が物足りない。
 とはいえ、組み合わせ次第では、マーガリンのほうがおいしく感じることもあります。(体には悪いけど)
 バブル期の高級志向から、市販でも、本格的なカラメルソースと卵で仕上げたプリンが出回るようになりました。
 後天的にその味を求めた人たちが、プリンの市場を変えたのでしょうか。

生チョコブームの先駆けとなった?
バブリーな高級路線のCM、ロッテのV.I.Pチョコレート
 
 
 去年の暮れから、カツ代さんのお菓子本で、ケーキ作りを始めました。
 といっても、まだ片手くらいしかレパートリーはありません。
 さすがに暑くなると焼き菓子から遠のいてしまいますが、今週は冷蔵庫の在庫処分で、久しぶりにレアチーズケーキに挑戦。
 はじめは何度もレシピを見ながら、大掛かりな作業だったのに、今では夕食作りと同時進行するようになりました。
 慣れると、大儀じゃなくなるんですね。
 
 カツ代レシピの特徴は、基本をおさえながらの簡略化で、本物から大きく外れる味にはなりません。
 そのせいか、「姿かたちをそっくり似せた、まったく異質の味」のレシピには、抵抗を感じるようになってしまいました。
 
殿堂入りレシピも大公開! クックパッドの大人気お菓子108 (扶桑社ムック)

 クックパッドの殿堂入りレシピより、ホットケーキミックスとプレーンヨーグルトで作る、ベイクトチーズケーキ
 クリームチーズなしで、チーズケーキを名のるには厳しい味です。
 カツ代さんの菓子本に、クリームチーズのかわりに生クリームとプレーンヨーグルトを用いた、「レアヨーグルトケーキ」があります。
 このベイクトチーズケーキも、「ベイクドヨーグルトケーキ」にすれば期待はずれにならないと思うのですが、難しく考えないで仕上げてしまう点はすごくいいと思います。
 クックパッドにみられるレシピの簡略化は、目を見張るものがありますね。


カツ代さんのレアヨーグルトケーキ。(「たのしいお菓子」1984年/家の光協会)
食器がいかにも昭和。

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雄鶏社のカツ代本


表紙がイマイチだけど、やっと手に入れたカツ代本。
小林カツ代の、帰宅して大急ぎで作る夕ごはん

 料理研究家・小林カツ代さんの真骨頂は、スピード料理にあります。
 スピード料理のレシピを集めた「帰宅して大急ぎで作る夕ごはん」(1994年)は貴重です。
 なぜかというと、2009年に出版社が倒産してしまったから。

 倒産したのは雄鶏社
 手芸関係の実用書で知られた出版社です。
 ぶきっちょな私には縁遠い会社ですが、手芸本は雄鶏社といっていいほど、愛読者が多かったみたい。
 質のいい本をたくさん出していたそうで、惜しむ声が少なくありません。
 
 ↓ あくまでネット情報ですが、

 
 雄鶏社という出版社が倒産したとここで知り、「へ~」くらいに思って本棚見たら、お気に入りはほぼ雄鶏だった。 
 その後、中古本で掘り出し物見つけたとウキウキしていたら、雄鶏
 図書館で良いなと思って借りたら…。

 雄鶏さんの偉大さには気付いたので、そろそろ解放してくださいorz 




雄鳥のおかげで図書館の良さに気づく事ができたから感謝してる。
何となく面倒で使ってなかったけど図書館マジ便利。
実際借りて手元に欲しいなと思ったら買うようにしてる
。 また好きな雑誌社がつぶれると嫌だし


 手芸本を制作するのは大変らしい。
 「作家さんがいて、編集者がいて、編み図や図案を起こす外注の業者がいて、カメラマンやアートディレクター、モデル・・・」 そのうえ、図案や校正のミスは許されない。→ こちらをクリック
 なんでもそうだけど、いい本は、手間隙かけて出来上がるのね。

 一度だけ、小学生の頃に手芸本を買ったことがあります、
「大高輝美のフェルト細工」

 調べてみたら、雄鶏社だった! 
大高輝美のフェルト細工―てるみのお店屋さん

 ↑ この表紙の真ん中にある、さやえんどうが可愛くて、
作りたくて、ランドセルにくぐりつけて・・・。
 小学を卒業しても、中学校のカバンにつけなおすほど、
お気に入りのフェルト細工でした。
 私でも作れるくらいだから、カツ代さんのレシピ同様、
わかりやすい本だったんだわ。

雄鶏社のカツ代本は、もう一冊あります。
「フライパン1つあれば!」(1995年)。

「小林カツ代のフライパン1つあれば!」の画像検索結果

 「料理の鉄人」で勝利した翌年の発刊で、カツ代さんの個性が全面的に押しだされている本です。
 かつおのたたきやホットサンド、おでんもさばの味噌煮も、フライパンでできるなんて!
 どちらかというと、男性が好むレシピで、出来上がりの写真がすごくおいしそうだけど、まだこの本で料理したことがないの。
 鉄のフライパンで作りたいから。


 頼りにしているサイト、「小林カツ代さんの本はおもしろい!」によると、「帰宅して大急ぎで・・・」のレシピは、スピード料理でも、味にはいっさい妥協しないそうです。
 さっそく今日は「鶏かぼちゃ」を作ってみようかしら。
 雄鶏社だけに。


カツ代本ガイド

 
 昨日は「小林カツ代のお料理入門 」の発売日。
 大型書店なら確実に入荷しているだろうと、さっそく池袋のジュンク堂へ行ってきました。
 この本は、カツ代さんの最後のエッセイ集「実践 料理のへそ!」(2003年/文春文庫)を再編集したものです。
 レシピに写真がついて、見やすくなりました。 あまりにも名編集で買ってしまうじゃないか。

小林カツ代のお料理入門 (文春新書)実践・料理のへそ! (文春新書)


 カツ代さんの本の特長は、そのままの話し口調です。 本来は、「ガーッと煮る」「ワーッと入れる」といった擬態語は校正の対象ですが、カツ代さんの場合は親近感があり、料理へのモチベーションがあがりやすい。

小林カツ代塾―黄金の食卓レシピ〈2〉今日の元気ごはん小林カツ代の「おかずですよ!」 味よし手間なし、四季の味 (PHP文庫)小林カツ代の忙しいからできる!料理とおやつ (講談社プラスアルファ文庫)働く女性のキッチンライフ~手早く、うるおいのある食卓の作り方~ (だいわ文庫)

 「小林カツ代塾」(1998年/講談社)は書籍としての完成度が高いけれど、その個性がいかんなく発揮されているのは、「おかずですよ!」(2004年/PHP文庫)「忙しいからできる!料理とおやつ」(2005年/講談社+α文庫)などでみられる、エッセイ付きレシピです。 身のまわりの出来事や家族の話題から入るレシピで、料理は特別な技術でなく日常生活のひとつなのだと、肩の力を抜くことができます。
 (※「おかずですよ!」「忙しいからできる!料理とおやつ」も過去の著書を再編集したものです。カツ代さんのエッセイは長きに渡って反響を呼び、だいわ文庫の「働く女性のキッチンライフ」は80年代から表紙をかえて増刷をくりかえしています)


小林カツ代のあっという間のおかず小林カツ代のアッという間のおかず―旬の味をいかした料理83 (おいしいLiFEing…)

 ジュンク堂で驚いたのは、昨年1月に亡くなったカツ代さんの本が、急きょ増刷されていたことです。
 「あっという間のおかず」(大和書房)は、同タイトルの料理本(1989年)を写真入りで再編集したもの。 カツ代さんの闘病中に、キッチンスタジオのスタッフが写真付きレシピに改めて、初版発行が2008年、第2版が2014年の2月です。
  「~できませぬ」といった独特の古い言いまわしやレトロな盛付けを、いまふうにアレンジしています。 どちらかというと、息子・ケンタロウ氏のセンスに近い仕上がりで、どの写真も美しい。 表紙からわかるように、カツ代テイストを残しつつ、彩りと食器とが調和していて、なによりもおいしそう!


小林カツ代料理の辞典―おいしい家庭料理のつくり方2448レシピ

 「風邪気味の夫におかゆを食べさせたい」と、その作り方を親に聞いても、本屋に走っても、ついにわからなかった若い妻の声から、カツ代さんが一念発起。 3年かけて2448レシピをまとめたのが、この「料理の辞典」(朝日出版社)です。 2002年4月に初版発行、2014年8月に12版発行。 亡き後も売れている、ということですね。
 おかゆをはじめとする基本の料理を網羅していますが、写真がなくて、初心者には難しいレシピもあります。


小林カツ代のおべんとう決まった! (講談社のお料理BOOK)

 「おべんとう決まった!」(講談社)も増刷を重ねています。 1998年4月に初版発行、2014年2月に24版発行。 今どきはやりの、見た目重視のキャラ弁ではありません。 大人が食べてもおいしく、傷みにくく、自然な彩りで盛りつける、王道の弁当レシピです。
 手軽にできるだけでなく、子ども用のおかずには「棒状に切る」「スプーンでつぶす」「かたいものを噛む練習も大切」と具体的なアドバイス付き。 食べやすく工夫しながら、好物だけに偏らないで、成長のために必要なおかずを取り入れています。
 バラエティ豊かなカツ代さんのお弁当で育ったケンタロウ氏。 彼の著書で、「人に作って喜ばれるのも嬉しいけど、作ってもらってフタをあける瞬間が大好きだ」と綴っていたのも、これなら!とうなずけます。 

 
まだまだ見たい! 小林カツ代のベストおかず(仮) (NHKテキストきょうの料理 2015 年 02 月号 増刊 [雑誌])

 亀有の大型書店では、先月発売の「小林カツ代のベストおかず」(NHK出版)が、10日間で売りきれ。 ジュンク堂では、まだ10冊ほど置いてありました。 2月24日(火)のNHK「きょうの料理」で、ふたたびカツ代さんのアンコール放送がはじまります。 お見逃しなく!


小林カツ代のお料理入門 (文春新書)実践・料理のへそ! (文春新書)

 話題を戻して、新刊の「お料理入門」は、ビギナー向けの写真付きレシピで、さらに読みやすくなっています。 とくに鯛茶漬けの写真はイメージどおりで、文章だけでもお腹がすくのに、ご飯にのったやわらかそうなお刺身が追い討ちをかけてきます(笑)。
 あとがきは一番弟子の本田明子さんが担当。 生前のカツ代さんが語っていたという、ひとりで作って食べるごはんの醍醐味に、「なるほどな」と共感できます。
 「実践 料理のへそ!」は文章のみで、調理道具の写真とイラストが少しあるだけでしたが、レシピ数が多く、カツ代さんの造詣の深さに引き込まれます。 その軽妙な語り口調に、経験や性別を問わず(どちらかといえば男性向け)、家庭料理の入門書として幅広い読者層に応える内容でした。 どちらもおすすめですよ。

カツ代本ノススメ


 料理研究家の故・小林カツ代さんの著書は、200冊以上あります。
 すべてを読んだわけじゃないけど、おすすめするのは、「小林カツ代のすぐ食べたい!」(1996年/講談社)です。
小林カツ代のすぐ食べたい!

 この本は、料理ビギナーも、中級以上の方も、急いで作りたい時の虎の巻です。
 カツ代さんの定番料理「わがままなワンタン」をさらに簡略化した、「わが道を行くわがままなワンタン」「ほうれん草のガーッ」、あっという間にできてしまう「とん白菜煮」はあきれるくらいにおいしい!
 「新じゃが炒め」「れんこんのカレー炒め」はお弁当のおかずにもなるし、「鶏レバーのイタリアン」はごはんよりも白ワイン向き。 「マーボー煮」は簡単すぎて、丸美屋の麻婆豆腐が使えなくなってしまいました。(※感想は個人差があります)

 「小林カツ代のすぐ食べたい!」からレシピを集めた、「決定版 小林カツ代の毎日おかず」(2007年/講談社)もおすすめです。
決定版 小林カツ代の毎日おかず (今日から使えるシリーズ(実用))

 料理や健康に関するひとことコラムがついて、検索しやすく、たくさんの写真と226 のレシピつき。
 メイン料理、サブのおかず、サラダ、麺&ごはんと分かれていて、献立の参考になります。
 ↓ 同じサイズで、「決定版 小林カツ代の基本のおかず」(2002年/主婦の友社)があります。
 
小林カツ代の基本のおかず―決定版 (主婦の友新実用BOOKS―Cooking)

 こちらは121レシピと数は少なめですが、カツ代節のきいたコラムが充実しています。
 「上手な献立のたてかた6つのポイント」では和・洋・中にこだわらなくていいとあり、「料理のコツ」では出汁をとるタイミングやにんにく・しょうがを香り高く炒めるコツを紹介。
 巻末の「料理の基礎とステップアップメモ」では、しょうがひとかけの量や乱切りの切り方など、ビギナーにうれしい解説つき。
 天つゆやどんぶりの煮汁、煮魚の基本となる合せ調味料やドレッシング、ムニエルのソースなどの配合はオールマイティに役立ちます。

カツ代流早うまヘルシー 野菜が主役の人気おかず213

 ↑ 「野菜が主役の人気おかず」(2011年/家の光協会)も、すみにおけません。 どちらかというと、中級者向きです。
 213レシピが野菜別に並んでいて検索しやすく、家庭菜園で旬菜責め?にあう方は、この本で料理がワンパターンになりません!(笑)
 ほうれん草を毎日食べたい私は、おかげで飽きずにすんでいます。 とくに冬は甘みが強く、カレーや麻婆に使うと、スパイスがいい具合にブレンドされます。

 
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カツ代レシピよ永遠に

 ついにこの日がやってきたか・・・と観念しながら、今日はニュースを見ていました。
 2005年にくも膜下出血で倒れて以来、リハビリしていた料理研究家の小林カツ代さんが亡くなられました。
 76才でした。

 カツ代さんの本を買ったきっかけは、ひとえに「私に家事の才能がなかった」からです。
 中学時代の家庭科は、ずっと最低評価の「C」。
 ミシンをかけたらマチ針ごと縫ってしまうし、お菓子を作れば、なぜか絞り出し袋から鶏肉が出てくる始末。
 母が見限るほど思いがけない展開ばかりで、私が台所に立てば、さながらマジックショーのようでした。

 「これではいけない」と思い立ったのは20代の頃。
 自炊しようにも、ちまたにあるのは敷居の高い料理本ばかり。
 見たこともない外国の調味料だったり、主婦(ベテラン)向けの本がほとんどでした。
 写真付きのハウツー本もありましたが、教科書みたいで読む気になれません。
 90年代にはやった「セイシュンの食卓」のような、手抜きのジャンクフードじゃなくて、 「もっと自然に、体にいい料理からはじめたい」と思っていました。

バラエティ番組「セイシュンの食卓」(1992~1994)より


 今なら初心者向けの読みやすい本もありますが、求めていたのは家庭料理。
 おしゃれにかわいく作る「彼氏ごはん」ではなく、和食です。
 帰ってきたときに一息つけるような、外食ではだせない「おうちごはん」
 そんな要望にもっともこたえてくれたのが、小林カツ代さんでした。
 テレビ番組「料理の鉄人」(1994年)でカツ代さんが勝利した時は、家庭料理がひとつのジャンルとして認められたようで嬉しかったです。

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 わかりやすい文章と作り方、そして親しみやすい“お母さん”の笑顔。
 できあがりの写真がなくても、作ろうと思える料理本。
 「強火でそのままワーッと煮込めばいいのよ」
 私の肉じゃがは、今もその作り方です。
 魚のムニエルも、ぶりの照り焼きも、目玉焼きにいたるまでカツ代流。
 はじめて作ったトンカツは、少量の油で揚げたにもかかわらず、「専門店みたい」とほめられました。
 小麦粉を茶こしで均一にまぶす裏技も、この時に知りました。
 どれもが初めてでも失敗しない、一般的な食材で作る、普遍的な家庭料理です。

【送料無料】 小林カツ代のおべんとう決まった! / 小林カツ代 【単行本】

 最近ハマっているのは、お弁当作り。
 追悼の意味をこめて、カツ代さんの弁当本を買いました。
 同じことを続けられない私が、なぜかこれだけは毎日くりかえしています。
 相棒も不思議そうに首をかしげていますが、たぶん気負いなく取り組めるからだと思います。

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