宮武館

「宮武館」とかいて「キューブハウス」と読みます。 記事内容は、サイコロのように不規則で多面体です。

2014年11月

高倉健とやしきたかじん


 ファンだったわけじゃないけど、高倉健さんの訃報にショックを受けた。
 この人はいい加減なことを言わない、という印象を持っていた。
 うわべばかりの芸能界で、無骨ながらも、ずっと変わらない人柄の持ち主だった。

最後のCM出演となった、健康家族「土との出会い編」
(このYoutubeは予告なしに閲覧できなくなるらしい)



 生前の健さんを語る人たちは、どれも何気ない優しさばかり。
 亡妻・江利チエミの早朝の墓参だったり、「(履く時に)スタッフを待たせたくないから」とブーツにチャックを縫い付ける依頼だったり。
 細やかな気配りをする、「クジラのように(心の)大きな人」と言われていた。

CMには、高倉健と同じ福岡出身の井上陽水「少年時代」が流れる。(「収穫編」)
(これも予告なしに閲覧できなくなるらしい)

 
 テレビの追悼VTRで、健さんは、仕事の依頼を憂いてた。

 「最近はFAXなんかで仕事の依頼がくるんだけど、字が汚いんだよね。
 なにを書いてるのかわからない。
 それでいて撮影期間が迫っているもんだから、『2日以内にお返事を』なんて書いてある。
 こっちも、そういう仕事は全部お断りしています」


 納得できたら出演する、と話していた。
 ロケ地の宿の娘の結婚式に、花束と電報を打つほど義理がたい健さんだ。
 “ お心入れ(※茶道用語らしい) のない行為は許せない。

 昔、「自分の葬式に何人くるかで、その人の値打ちが決まる!」と豪語していた男性同僚に、「そんなことでは決まらない!」と反論したことがある。
 今もその考えは変わらないけど、健さんにまつわるエピソードから、もっと深いところで大事なことがあるように思えてならない。

 百田尚樹の「殉愛」騒動のように、どんなに人から愛されても、亡くなった後で揉め事が起きるような最期はゴメンだ。
 残された人たちが、さらに悲しむことになる。
 誰だって感謝の気持ちで故人を偲びたいし、そんな思いを分断させたくない。
 やしきたかじんを知る人たちには、善悪で決められないエピソードがたくさんあるだろうし、一言では片付けられない事情があるのだろう。
 
 たかじんの生き方も、健さんの生き方も、個性だ。
 どちらがどう、ということじゃない。
 それぞれに支持者がいる。
 今回の訃報は、すごく考えさせられた。
 赤の他人でもそう感じるくらいだから、高倉健は大きな存在だったにちがいない。 
 

ヘビロテつつ毛布


 先月も紹介しましたが、おすすめですよ。
 マイクロファイバーのつつ毛布。(ベルメゾン)
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 10月になるとこたつをフル活用する相棒が、今も電源を入れてません。
 これにもう1枚、毛布をプラスしたら朝まで過ごせるといいます。
 自己発電の保温効果で、冷え性が改善したのか、最近は過剰に寒がらなくなりました。 
 やっと今年から、こたつで寝るのを卒業できるかしら。

 ベルメゾンのレビューをみると、このつつ毛布から抜け出してしまうほど、寝相のわるい人もいるようです。
 体温で温かい空気がこもるため、熱くて出てしまうんでしょうね(笑)。
 幅約80cm × 長さ約210cmサイズだから、170cm 以上の大柄な人には少し窮屈かもしれません。

 色はピンクとグリーンとアイボリーの3種類から。
 できたら、ブラウンが欲しかった!
 パステルカラーはきれいだけど、冬は特に、洗濯した毛布は乾きにくいのです。(つつ状だけに)

 トータルでみると、省エネで過ごせるのでおおむね満足です。

醤油と薔薇の美談


 小倉千加子の「結婚の条件」から触発された相棒が、関連図書を山積みのように持ってくる。
 これぞ、小倉千加子責め。
 読みたい本が他にもあるのに!

結婚の条件

 そのなかでもタイトルのつけかたが秀逸なのは、「醤油と薔薇の日々」(2013年/いそっぷ社)。 「なんのこっちゃ?」と印象づけて、読後感は「なるほど!」だった。
  
醤油と薔薇の日々


 このタイトルは、安田成美のキッコーマンのCM(1992年)からきている。 醤油のCMで、「薔薇」という漢字が書けることを子どものように自慢する妻。 オンエア当時は、姫野カオルコだけでなく、私の周囲にも「あのCM、大キライ!」とブーイングする友達が多かった。 未婚女性ならいざ知らず、結婚してなお男に媚びつづける姿に、「そんな面倒くさいこと、やってられるか!」とザワつく女たちがいたということだ。

 それは、喜んで家事をやる(醤油)というサービスに加えて、性愛の領域において受身でありつつその気にさせてあげる(薔薇)という、さらに面倒臭いサービスなのである。
「醤油と薔薇の日々」より

 たしかにコレはザワつく。
 「散歩しよう」だけなら私でも言えるけど、甘えた声でわざわざ「手をつないで」と盛るあたりが。
 

 私は、百田尚樹の新刊「殉愛」の宣伝にザワついた。
 末期ガンの有名人・やしきたかじんを看病した、妻の献身ぶりがやたらにクローズアップされていて辟易する。
 聴力を失いながら、殴られながら、そこまで寄り添ったから感動するのか?
 犠牲の精神が美談として大きく取り上げられると、それが見本のように認識されてしまう。
 「名誉の戦死」と賛美して、感動を誘った戦争映画「爆弾三勇士」のように。

 そう危惧していたら、たかじんの妻の経歴が暴かれ、瞬く間にネット上で拡散された。
 「ブランド好きでイタリア人と結婚していた女性が、天使であるはずがない」と。
 ブランド好きでイタリア人と結婚していても、看取ることはできるだろうけど、盛りすぎた宣伝の反動で視聴者の嫌悪感につながった可能性はある。

殉愛

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スペリオールの「ハルマゲドン」


 西原理恵子の人生画力対決が終了して、お楽しみのページが減ってしまったスペリオール。
 
ビッグコミック スペリオール 2014年 11/14号 [雑誌]
 今週号からはじまった「江川と西本」は、実在したプロ野球のスターを漫画化したもの。
 実話だけにおもしろくないはずはないけど、私は野球オンチなので、あまり食いつけなかった。 どうしても読みたいものではないけど、次回に期待。

 そろそろスペリオールの購読をやめようと思っていたところに、新人漫画家による、夢も希望もないデビュー作が掲載されていた。
 平稔(たいらみのる)の「ハルマゲドン」は、幼い子ども達が抱える心の闇を、個性的なペンタッチで描く。
 
※これより、ネタバレあり

 万引きをくりかえす母親から心配されたくて、豪快に本を盗もうとする主人公。 
 いじめをする側とされる側が、似たような状況を抱えている。
 彼らは、たとえフィクションでもハッピーエンドを望まない。
 こんな現実は、全部爆発してなくなってしまえばいい、とさえ思う。

 同じ闇をみた瞬間、被害者と加害者の境界線が消えた。
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 フジテレビ放送「ノンフィクション」の、「ボクの帰る場所~秋葉原無差別殺傷事件~にも同じような経過があった。 6年前、秋葉原で起きた通り魔事件。 7人の通行人を殺害した加藤智大被告。 彼には帰る場所がなかった。
 「ハルマゲドン」に登場する、二人の小学生もそうだ。

 “ わるいこと ” だとわかっていても、止められない。
 “ わるいこと ” を止められない大人たちのもとで、“ いい子 ” ではいられなくなっていく。


 ただの “ いい大人 ” では、子ども達を救うこともできない。
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 「止まってはいけない」
 「声に出すこともできない」
 「何をきっかけに落ちてくるのか、わからないから」

 わるいことをすれば、心配してくれるかな。
 いけない子だって叱ってくれるかしら。
 ねぇ、起きて。
 起きて、お母さん。


 「大好きだった」
 「だからこそ許せなかった」
 「分かってたんだ もういなくなってしまったことは」
 「でも それを受け入れてしまったら、おしまいだと思った」
 
 すべてがいきづまって、壊れないと、先へすすめなかった。
 すべて壊れてしまった後に、残されたものは?



 少年マガジンの「聾(こえ)の形」大今良時)もそうだけど、衝撃的なデビュー作で、新人賞をかっさらう漫画家はなんだか頼もしい。
 新人だからこそ、売れる漫画でなく、描きたいものに取り組めるのかもしれない。
 高橋留美子の「鏡が来た」みたいに、コメディだけでなく、読ませる作品がもっとあればいいと思う。
 大人向けの雑誌として、他誌と差別化してもいいんじゃないかな。
 衝撃的な内容は、長期連載になるとダレてくるから、短く、問題を提議するような形でストーリー化したほうがおもしろい。

ビッグコミック スペリオール 2014年 7/25号 [雑誌]

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